慶應生が知っておきたい、資格試験の違いや特徴について(不動産鑑定士・宅建士編)

これまでは司法書士や公認会計士などを扱ってきましたが、違いをわかって頂けたでしょうか?
さて、今回は「不動産鑑定士」と「宅建士(宅地建物取引士)」について見ていこうと思います。
不動産鑑定士?宅建士??となる人もいるとは思いますが、どちらも不動産に関する資格という点では共通しています。
しかし、細かく見ていくとまたもや違いがしっかりとあることが分かります。

不動産鑑定士

不動産鑑定士とは

不動産鑑定士の独占業務は「鑑定評価業務」です。
「鑑定評価業務」とは一般的な不動産の査定、すなわち、ある不動産の売買価格の目安の算出とはまた違ったものになってきます。
正しくは、ある不動産の持つ利用価値を前提とし、お金にしたらいくらになるのか、その金額の算出が「鑑定評価業務」となります。
これは、売買を前提にしないという点で不動産査定と大きく違います。担保としての評価や投資用に証券化するときの評価に使われたりします。
具体的な業務の流れについて見ていきましょう。
まず、役所に出向き、対象となる不動産の登記に関する情報や不動産のある場所の各種法令等について調べます。
これらの知識を高いレベルで持つことが不動産鑑定士には求められます。
その後、不動産の現地へ出向き役所で得た情報と一致するか確認したり役所では得られなかった情報を確認していきます。
ここまでがフィールドワークになり、終わるとデスクワークになります。
ここでは主にフィールドワークで調査した状況から鑑定評価を行い、書面にまとめる作業になります。
つまり、鑑定評価業務は頭も足も使う業務ということです。
他の業務としては
信託(顧客から預かった不動産の運用や投資判断材料の作成)
国際財務報告基準に向けた企業不動産の時価評価
デューデリジェンス(投資判断材料の作成)
等が挙げられます。

試験について

不動産鑑定士になるには国家試験に合格する必要があります。
しかし、不動産鑑定士は弁護士、公認会計士に並ぶ三大国家資格の1つであるともいわれ、その試験の難易度は非常に高い物になっています。
さて、
具体的には1次試験である短答式試験と2次試験である論文式試験があります。
それぞれ

  • 短答式は例年5月中旬の日曜日
  • 論文式は例年7月下旬〜8月下旬(日曜日を含む土日月の連続する3日間)
に行われます。
まず、1次試験の短答式試験では、不動産に関する行政放棄及び不動産鑑定評価理論について問われます。
内容は
  • 午前:行政法規について択一式で40問(2時間)
  • 午後:鑑定評価理論について択一式で40問(2時間)
になっています。
およそ7割を基準とし、各科目で一定の得点を獲得することで合格となります。
合格率は25%前後です。
この数字は宅建より高いのですが、それには宅建よりマイナーなことと、受験者の質の違いが影響しているのではないかと言われています。
ですので、宅建と同レベルかそれ以上の難易度であると言えるでしょう。
次に2次試験の論文式試験では 民法、会計学、経済学及び不動産鑑定評価理論について問われます。
1次試験の短答式試験の受験資格は特に無いのですが、こちらは短答式試験合格後3年以内でないと受験することができないので要注意です。
内容は
  • 民法(1日目午前)
  • 経済学(1日目午後)及び会計学(2日目午前)について大問2問(各2時間)
  • 不動産の鑑定評価に関する理論、(2日目午後、3日目午前)について大問4問(4時間)、
  • 不動産の鑑定評価に関する理論、演習1問(3日目午後)について大問1問(2時間)
となっています。
論文試験の文字数は2問で2000文字程度と言われており、鑑定評価理論の演習とは計算問題を指します。
およそ6割を基準とし、各科目一定の得点を獲得することで合格になります。
合格率は例年10%で推移しており、鑑定評価理論だけでなく、民法は司法試験レベル、経済学は国家1種レベル、会計学は公認会計士の財務諸表レベルと非常に難易度の高い試験になっています。完璧に解ける必要は無いのですが、ある一定の水準までの知識は求められることになります。
さて、不動産鑑定士になるには試験に合格するだけでなく、その後実務修習を受け、修了考査に合格する必要があります。しかし、合格率は例年90%程度なのでしっかりと実務修習をこなしておけば大丈夫でしょう。
最終合格率は2−3%であるため超難関の資格と言えるでしょう。

宅建士

宅建士とは

宅建士も不動産鑑定士と同じく不動産に関わる国家資格です。
不動産鑑定士は不動産を厳密に構成に評価する「鑑定評価業務」が主な業務でしたが、宅建士は不動産の売買や貸し借りすることを仕事にする場合に必要な業務です。
不動産鑑定士は不動産売買が前提にないのでその点で大きく違うことが分かります。
独占業務は「重要事項の説明」、「重要事項説明書への記名・押印」、「契約内容記載書への記名・押印」などが挙げられます。
簡単にいうと、不動産会社の従業員を想定しておくと良いでしょう。
つまり、不動産取引は非常に高額であるため、事前に損害や不当な契約を防ぐために重要事項を説明するのが宅建士の仕事というわけです。
(実際には5人規模の会社なら1人資格取得者が必要です。)

試験について

宅建士になるには不動産鑑定士と同様に国家試験に合格する必要があります。
しかし、宅建士は全50問の択一式試験(2時間)であり、難易度も不動産鑑定士より易しいと言われています。
(宅建業者が登録講習を受講・修了した場合、3年以内の試験については5問免除)
この試験は年1回例年10月の第3日曜日に行われます。
受験資格はないので誰でも受験することができます。
内容は

  • 宅建業法(20問)
  • 民法など(14問)
  • 法令上の制限(8問)
  • 税・その他(8問)
となっています。
合格点は50点満点中31〜36点となっており、合格率は15〜17%台を推移しています。
その後、2年以上の実務経験を積むか、登録実務講習を修了することで宅建士に登録することができます。
参考 攻略のコツ資格スクエア

まとめ

以上、不動産鑑定士と宅建士の違いについて説明してきましたが、まとめると以下のようになります。

①業務の違い
不動産鑑定士は売買を「前提としない」鑑定評価業務
宅建士は売買を「前提とした」重要事項に関する業務
②試験の違い
不動産鑑定士は論文式が「ある」
宅建士は論文式が「ない」
最近では不動産鑑定士の短答試験の行政法規の60%が宅建士の知識で得点できることから、宅建士に合格した後不動産鑑定士を目指す人も多いようです。
また、不動産関係の会社でなくて、例えば金融機関の多くが不動産販売会社を有していることから、金融機関内定後に宅建士の取得を推奨されることも少なくないようです。

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