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最後は粘り強さが大事!弁理士試験合格者が語る弁護士合格の秘訣

学歴は、理工系単科大学の大学院修士課程修了です。大学院修了後に、鉄鋼メーカーに就職し、主に技術開発職として約9年勤務しました。その後、弁理士になるために鉄鋼メーカーを退職し、特許事務所に転職しました。その後、特許事務所にて、特許技術者として勤務し、4年間にわたって弁理士試験の勉強及び受験をし、なんとか合格して、晴れて弁理士になりました。その後、弁理士として勤務した後、今年になって特許事務所を退職しました。

弁理士試験を受けるに至った経緯
鉄鋼メーカーに勤務している時に、技術開発職だったこともあり、発明者として特許出願をいくつか行うことがありました。その時に、知財部を通じて特許事務所に出願書類の作成を依頼していた関係で、弁理士という職業があることを知り、興味を持ち始めました。但し、鉄鋼メーカー勤務時は、弁理士試験が難関試験であることから、技術開発業務をこなしつつ弁理士を目指すことは難しいと考えて、知財部への異動を希望していました。知財部に異動できれば、弁理士試験の勉強も可能になると考えたからです。しかし、知財部への異動はなかなか実現せず、その状況にしびれを切らした私は、弁理士を目指すべく、特許事務所に転職しました。特許事務所であれば、弁理士試験の勉強及び受験に対する理解があり、有利であると考えたからです。

弁理士試験にあたっての勉強法等
私の弁理士試験の勉強はオーソドックスなもので、特許事務所の勤務が終了した後に、一日2~3時間程度勉強するというものでした。短期で合格を目指すならば、もっと勉強時間をとるべきだと思ったのですが、特許事務所での仕事に差し支えが出るほど勉強すると、勤務及び勉強を含めた毎日のリズムが崩れてしまい、長続きしないように思ったからです。個人的な考えとしては、仕事もしっかりとこなしつつ勉強するというスタンスを大切にしたかったため、短答試験及び論文試験の直前の期間以外は、このリズムで勉強を続けました。そして、短答試験の直前の2か月は、事務所の所長に相談して、仕事の量をセーブしてもらい、勤務時間内にもかかわらず、午後3時ぐらいから仕事をせずに、勉強させてもらうようにしていました。また、論文試験の直前の1か月についても、仕事の量をセーブしてもらい、勤務時間内にもかかわらず、出張扱いで答案練習会などに出向くなど、勉強させてもらうようにしていました。私のいた特許事務所は、弁理士試験の勉強及び受験に対する理解があり、非常に助かりました。

弁理士の仕事について具体的に
弁理士の仕事は、特許であれば、発明者がした発明内容を聞いて、その発明内容を出願書類としてまとめ上げることが主な仕事です。このため、弁理士には、純粋に技術を理解する力が必要であることはもちろんですが、それだけではなく、発明者からうまく発明内容を引き出すという話術も必要になります。また、発明内容は、通常、図面とその説明文(特許請求の範囲や明細書)にする必要がありますので、文章を書く力も必要です。また、私は、個人発明よりも企業の従業員がした発明を主に取り扱っていましたので、発明者の説明だけではなく、企業側の要求(例えば、ライバル他者の製品を見越す等)も考えなければなりません。その意味で、非常にやりがいのある仕事であると思います。但し、弁理士の仕事をこなしていくためには、弁理士試験の勉強で得られるものとは異なる実務的な能力が必要です。その意味では、弁理士試験に合格した後も、常に自己研鑽が必要となり、なかなか大変な仕事です。

受験生・受験を考えている方へのアドバイス
弁理士という職業は、技術に興味がある方には大変魅力的な職業であると思います。しかし、弁理士試験は難関試験であり、生半可な意思ではなかなか合格を勝ち取ることはできません。私は、特許事務所で働きながら勉強して合格にたどり着くことができましたが、これはあくまでも一例にすぎず、他のやり方でもよいと思います。ただ、社会人になってから受験を考えている方は、まず、ご自身が勉強を続けていける環境を作ることが大切であると思います。なぜなら、弁理士試験は、ある程度勉強時間を確保できなければ、こなせないほどの知識量が要求される試験であり、また、私のように複数年受験をしなければならない可能性もあるからです。このため、受験生・受験を考えている方には、勉強を続けていける環境を作ることができるかどうか、そして、粘り強く受験を続けていける気持ちがあるかどうか、をまず自問自答していただきたいと思います。頑張ってください。